南方熊楠師が守ってくれた三重県下最大の巨木
令和4年12月25日、「熊楠の大クスを見に行こう」との友の誘いで、幾年ぶりだろう…出かけた。それは御浜町引作(ひきずくり)地区にある大楠で、その大きさに圧倒された。幹回りは2.5㍍ほど積まれた石垣の上で測って15.7㍍もある。樹高31.4㍍、推定樹齢1.599年と県内屈指の巨樹。写真に撮るが、苔むした巨岩盤の前のようで…結果、私と対比することにした。
この巨木は、南方熊楠師が東京在住の柳田国男師等と連携して切り倒されるのを阻止したことで世界に知られている。だが、だがである…熊楠師に興味を抱いて幾冊もの書籍を読んで来たはずの私だが…この巨樹が県内にあるとは…不覚だった。
師は和歌山県の田辺市を拠点に熊野の森を探索しての粘菌探しだった。その当時神社統合政策で、日本中の鎮守の森が次々消される国策…これに立ち向かって森林生態保全に全力を注いだのが南紀在住の熊楠師であった。粘菌探しで熊野のこの御浜の地まで来てこの大楠に出会っていた。引作神社のこの巨木だけではないが、生態系の残る南紀路の自然林を守るため奔走してくれこの巨木も守られた。この巨木との出会いは、久々身体も心も熱くしてくれた。
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