三重大学教育学部幼児教育専攻生対象の「保育指導論」集中講義(中西智子教授)で「自然」をテーマに、平成22年8月3日から6日の3日間、学生と向かい合った。
第1日目は、三重県山岳連盟副会長の根本幹雄氏と同副会長の亀井正明氏の協力を得た。2人は海外遠征の県下のパイオニア、根本氏は青少年に自然を使った教育企画を若い頃から、亀井氏は「自然環境リスク理論」の権威である。レジュメやパワーポイントを使っての3限の講義(①子どもと自然の関係:大川、②国内外の子ども達と自然:根本、③自然と危険と安全と楽しさ:亀井)、4限目は、先の3人に学生も交えてのディスカッションとした。自然での遊び体験の少ない学生に如何に基礎知識を持ってもらうかに焦点を置いた。
2日目は、夏の自然を体感でとらえることをテーマとした。この日は大川幼稚園が夏季保育中で、年長児が安濃の里山オズに虫捕りに行く。午前中は、里山での教師と子どもの声がけ、子どもの動き、子どもの感動の瞬間等の観察を主体とした。午後は、鈴鹿山岳会の楯國夫氏に協力してもらって、里山整備体験で、ブッシュ帯に道を作る作業である。汗をかいたあとの冷やしソーメンも準備した。第3日目は、3千坪近くの園庭内に里山のある津西幼稚園を活用した。特設プールの水遊び、広い運動場や里山を駆け巡る子どもの興味・関心と先生の声がけ観察である。一方で、私立幼稚園の一斉保育への参加体験も組み込んだ。4日目は、中西教授の下でのレポート作成である。学生達は、何をどう摑んでくれたのだろうか。
子どもたちは、自然環境で段階的に、危険や安全の判断がそなわり、友達や先生とどうすれば楽しく遊べるかを掴んでいく。津市のように海も里山も田んぼも身近にあれば、学校教育で年に数回その環境で友だちと一緒に遊ぶなり、作業をするなり、調査をするなりと、多様な体験活動が可能である。日本には四季があり、不思議さ、美しさ、恐ろしさ、楽しさ、等々数え切れない体験が出来る。それは日本人として諸外国の方々と交わる時に必要なアイデンティティーにも大きな影響を及ぼすと私はとらえている。