松阪市のだいぶ変わった古本屋さん
令和4年4月22日、“調べたいときの古本屋 ほんのきもち”という面白い古書店に出会った。経営は庄司佳伸さんという方だ。名刺を交わすと広告の裏紙が使われていて、そこに“答えが出ないときは「ごめん」”と記されている。ここで、『字統』という辞書に出会えた。これは福井県の国語学者“白川静博士”が1984年に平凡社から出版した辞典である。
実は平成22年、全国学力テストで三重県が長年45位だった時、福井県の学園経営仲間と話して知った辞書がある。それが『字統』を出版された博士による、福井県教育委員会編・発刊の『白川静博士の漢字の世界』(平凡社・B5判・288頁・1600円)で、福井県の小中学校の生徒全学年が持っていて進級ごとに使われているものだった。開くと、シャマニズム・アミニズムの世界も取り入れた、文字の無い時代からの象形文字の変遷も含んだ解説本的辞典で、例えば、“「親」おや・したしい・したしむ…辛と木と見とを組み合わせた形。辛は入れ墨用のとっ手のついた大きな針。死者の名前を書いた木の札(いはい)を作るための木を運ぶ時、針を投げて選んだ。親はそのいはいを見て拝んでいる形である。…略…いはいを拝むには親しい間柄の者であるから、「したしい」の意味にも使われる。”と文字のない時代にまで遡っての説明である。当時の私は大川幼稚園と津西幼稚園そして当学園の学童保育の教員用も含み、5冊求めた。
三重県では考えられないが、土台の土台を郷土の偉人から子どもたちに毎年触れさせて、文化と国語力と創造性への興味付けをしている福井県の大元である貴重な辞書と、三重県で出会えることができた。
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